(803)約束はいつも待つ側春隣/浅川芳直(1992年~)
「春隣」は、暦の上ではまだ冬だが、立春まで間もない頃。寒さに耐え、春を待ち望む気持ちがある。句は作者が10代後半の作のようで、待ち合わせの約束が思われる。春の気配が漂う日の光の中で、待つのを厭(いと)わない相手は、心を寄せる人だろうか。「いつも待つ側」であるのは、段取りがきちんとしているのもあるが…
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