能登半島地震 石巻市職員、避難所運営を支援 教訓基に生活環境改善 本紙記者被災地ルポ
能登半島地震で被災した石川県志賀町で避難所運営を支援するため、石巻市は1月10~26日、3回に分けて計12人の職員を独自に派遣した。東日本大震災の教訓を踏まえて普及が進んだ段ボールベッドの設置に協力。避難所の生活環境の改善を図った。(及川智子、相沢春花)
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地震直後、15人ほどが避難した会議室で、就寝時に敷いたのは毛布1枚だけだった。
「頭の上に他の人の足があるなど、体にこたえる状況が続いていた」
■丈夫でしっかり
多くの人が身を寄せる町富来活性化センターで大木(だいき)昭雄さん(89)は話す。
導入された段ボールベッドは、生活環境を劇的に変えた。「段ボールと聞いた時はぐにゃっとつぶれるかと思ったが、微動だにせずしっかりしている」
石巻市から派遣された職員は保健師2人を含む4人で班を編成。3班が入れ替わりで現地入りした。町富来活性化センターでは、1月16~20日に活動した第2班が段ボールベッドの導入に協力した。
■他県職員ら協力
市が導入方法を相談した石巻赤十字病院の植田信策副院長の指揮で、30人ほどが半日がかりで約100人分のベッドを搬入した。日赤医療チームや、避難所運営を担う愛知県の派遣職員らが協力。ベッドを組み立てて配置した。
ベッドを入れた各部屋の生活スペースは土足禁止とし、即席の靴箱を製作。食事は食事スペースで取るといったルールを決めて周知した。
第2班のメンバーで保健師の八森かず美技術主査は「ベッドを入れるだけでなく、その後の生活を見据えた環境改善やルール作りが必要だった。避難者には立ち上がりが楽になったと言ってもらえた」と語った。
運用法分からず
段ボールベッドは低体温症や呼吸器疾患の予防に有効だが、現地では届いてもどのように設置、運用したら良いのか分からず混乱があったという。八森さんは「受け入れ態勢を整えることの大切さを感じた」と話した。
市は今月1日から、被災自治体を一対一で支援する県の対口支援先となっている能登町へ職員を派遣している。
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