(833)野火を見るわがたてがみの白交り/世古諏訪(1928~2021年)
野火。野焼(のやき)とも言う。草萌(くさもえ)をよくしたり、害虫を駆除するために、山や畑、畔(あぜ)を焼くことで、春になるとあちこちに野焼の煙が上がっているのを目にする。それをじっと見つめる初老の男性。「たてがみ」と言うからには長髪なのであろう。見入っているからには、実際に野焼をする人ではなくて、…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。