(834)雛の灯を消せば近づく雪嶺かな/本宮哲郎(1930~2013年)
雛(ひな)祭りの歌は「あかりをつけましょぼんぼりに…」ですね。雛壇に飾られる明かりは、今は電気が多いでしょうが、雪洞(ぼんぼり)の光は柔らかく、暖かな色合いです。家を留守にするときや夜眠りにつくとき、雛の灯を消すと窓の外の雪嶺が大きく、近づいて来るように感じました。新暦の3月3日は早春の頃でまだ寒…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。