(835)春風の重い扉だ/住宅顕信(1961~1987年)
若者にとって春は、学業や仕事など新しい環境や人間関係が始まる季節である。一見のどかな春風の中、重く閉ざされた扉は、乗り越えていかなければならない試練の象徴のようだ。作者は自由律の俳人。若くして白血病に罹患(りかん)、結婚したばかりの妻と離婚し、誕生した息子を引き取り病室で育児をした。そんな境遇の中…
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