(836)草餅の黄粉溢れる書道室/桜井優月(2005年~)
下五の展開がユニーク。なぜ書道室で食べているの? 広い部屋なのでちょっとした会合にも使われるのか、書道をしながらおやつに食べているのか、想像は広がるが正解探しはどうでもよい。整頓された大きな机に、はらはら皿を溢(あふ)れる草餅のきな粉の眩(まぶ)しさ。これがこの句のキモだ。墨の香り、壁に張ってある…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。