(839)指に砂糖燕まつすぐ沈みゆく/野城知里(2002年~)
私が俳句を読んでいて面白いと思うことの一つは、描かれた景色と自分とが一直線に結び付けられてしまうような感覚になる。掲句に描かれているのは、外の景色の燕(つばめ)の急降下、指に付いた砂糖だけ。読み下すと(そんなことは描かれていないのに)砂糖壺(つぼ)に自分の指を埋(うず)めたくなる衝動すら覚えてしま…
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