(840)余寒なほ不覚に踏外せし一段/山本つぼみ(1932年~)
暦が秋になっても長引く暑さを残暑というように、春になっても残る寒さを余寒といいます。雪が少なくなり、緑の草が生え始め、春の気配はそこかしこにあるものの、上着や部屋の暖房はまだまだ活躍する頃です。なおも募る寒さに思いを馳(は)せていると、ふと階段を踏み外してしまいました。私もたまに階段で転びますが、…
関連リンク
- ・(839)指に砂糖燕まつすぐ沈みゆく/野城知里(2002年~)
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- ・(837)風花や足湯に妻をおきざりに/小菅白藤(1930年~)
- ・(836)草餅の黄粉溢れる書道室/桜井優月(2005年~)
- ・(835)春風の重い扉だ/住宅顕信(1961~1987年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。