東日本大震災13年 祈り、誓い、風に乗せ 石巻地方で追悼行事
東日本大震災は11日、発生から13年がたった。約6000人が犠牲になった石巻地方では、各地で花を手向け、手を合わせる人々の姿があった。
石巻市と東松島市は追悼式、女川町は自由献花方式の「追悼のつどい」を開いた。地震発生時刻の午後2時46分には、亡き人の面影をしのんで市民が静かに祈りをささげた。
1月1日に発生した能登半島地震には、多くの人があの日を重ねた。会えなくなった人、戻れない古里への祈り、誓いとともに、能登の被災地にも思いを届けた。
石巻市
石巻市の追悼式は石巻南浜津波復興祈念公園内の市慰霊碑前で開かれた。
遺族代表や来賓ら約70人が出席し、開式前には能登半島地震の犠牲者に黙とうした。震災発生時刻の午後2時46分、防災行政無線のサイレンに合わせて黙とうをささげた。
斎藤正美市長は式辞で「震災の経験と教訓を後世に伝え続け、風化させることなく次の世代へ伝承していくことが私たちの責務だ」と述べた。
慰霊碑前には多くの遺族や市民が訪れ、花を手向けた。震災で両親と弟を亡くした同市塩富町2丁目の調理補助平塚千代美さん(67)は「3人を忘れることはない。自分は水没した車から助かったけれど、両親たちが助けてくれて生かされたように思っている」と話した。
市は河北、雄勝、河南、桃生、北上、牡鹿の各地区にも献花台を設けた。
東松島市
東松島市の追悼式は市コミュニティセンターであった。遺族や市民ら約350人が参列し、行方不明23人を含む1133人の犠牲者に哀悼をささげた。
渥美巌市長は式辞で「震災を語り継ぐことを責務とし、これからも被災者に寄り添い安心安全のまちづくりを進める」と述べた。
参列者は地震発生時刻に合わせ黙とうした。一人一人献花し、祭壇に手を合わせた。
同市大塩の農業桜井祐子さん(70)は、津波で長女の高橋みゆきさん=当時(35)=と孫で大曲小1年だった朋希君=同(7)=を亡くした。当時4歳だった孫の寿弥(かずや)さん(17)を迎えに行く途中に津波に遭ったという。
桜井さんは「孫は元気で明るく、少し恥ずかしがり屋だった。生きていれば今年で成人。写真を見て毎日思い出す」と話した。
女川町
女川町は町役場海側にある震災慰霊碑前で自由献花方式の「追悼のつどい」を開いた。訪れた人たちは花を手向けたり、碑に刻まれた大切な人の名前をじっと見つめたりしながら冥福を祈った。
午後2時46分に黙とうし、須田善明町長が「いつかは震災を直接経験した人がいなくなってしまうため、後世に繰り返し伝えていくことは私たちの責務だ。悲しみがあっても立ち上がれるように、これからも見守っていてほしい」と追悼の辞を述べた。
津波で祖父母と母を亡くした公務員鈴木智博さん(24)=美里町=は震災当時、女川二小6年だった。「13年はあっという間に過ぎた印象がある。これからも元気で頑張っていることを報告していきたい」と語った。
町は町役場1階エントランスホールに、震災前の街並みと復興の過程が分かるパネルを設置した。
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