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「地域の教育力」活用 石巻市小中10校、協働活動が成果 CSと一体的に推進

石巻市協働教育支援会議で本年度の活動を報告する関係者=1月30日、市役所

 石巻市の小中学校10校が「地域の教育力」を生かして子どもを育てる協働活動を展開し、成果を挙げている。米作り体験や魚さばき教室、本の読み聞かせ、プログラミングなど多彩で、子どもの地域産業への理解や学習意欲の喚起につながっている。

 各校は年10万円の助成を受ける市協働教育推進事業を活用し、本年度の取り組みを進めた。

 活動3年目の学校では、須江小の「ささえ隊」(地域ボランティア)が5、6年生家庭科の裁縫やミシン学習の補助、2年生校外学習の見守りをした。北村小は保護者の水田を利用し、3、5年生と特別支援学級の児童が米作りを体験。桃生小は3年生が地域の産業、4年生が地域の環境をそれぞれ調査し、住民の農業や古里への思いに共感した。

 住吉中は2、3年生を対象に応急手当て・心肺蘇生法講習会を開催。湊中は石巻魚市場買受人協同組合青年部の協力で、1年生がタチウオの干物作りと、ブランド魚「金華さば」のさばき方を体験した。

 活動2年目の石巻小は地域の料理店関係者をゲストティーチャーに招き、4年生が「だしの秘密」について学んだ。住吉小は地域ボランティアによる1~6年生の本の読み聞かせや3年生を対象とした「科学教室」、高学年へのプログラミング研修会を実施。大場嘉博校長は「本物に触れることで、子どもたちの目の輝きも変わってくる」と成果を強調した。

 広渕小は保存会の指導で高学年が伝統芸能「河南鹿嶋ばやし」に取り組んだ。鮎川小は校歌作曲者の孫が所属する音楽ユニットを招き、芸術鑑賞教室を開催。雄勝中は全学年が雄勝硯石を用いてスレート皿作りをした。

 石巻市では、2024年度に全ての小中学校と桜坂高が地域住民らが学校運営に参画するコミュニティ・スクール(CS、学校運営協議会制度)に移行する。市教委は23年度で市協働教育推進事業を終了し、地域と学校が連携・協働し一体となって子どもを育む「地域学校協働活動」とCSを一体的に推進していく。

 市役所で1月30日にあった本年度第2回市協働教育支援会議で、委員から「CSの全面移行に伴い、これまで以上に学校と地域の信頼関係が求められる。『地域で子どもを育てる』意識の醸成が重要だ」などの意見があった。

 宍戸健悦教育長は「教育の充実に協働活動は効果があり、学校を核とした取り組みは地域の活性化にもなる」と話した。

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