(843)朝寝して不思議な夢を出入りする/山田佳乃(1965年~)
時計もアラームもない昔の人々は日の光で目覚め、一日を始めていました。「春眠暁を覚えず」とは、過ごしやすい春の朝が心地よく、夜明けに気付かずに寝過ごしてしまうことです。朝寝もそれに近い言葉で、春の日が差す早朝の気持ちのよい眠りのことを指します。淡い覚醒の中で、作者はさっき見た不思議な夢を思い出しなが…
関連リンク
- ・(842)翼なきものへ焼野の朝が来る/佐々木啄実(2004年~)
- ・(841)故郷(ふるさと)の春夕焼は弔旗なり/土見敬志郎(1935年~)
- ・(840)余寒なほ不覚に踏外せし一段/山本つぼみ(1932年~)
- ・(839)指に砂糖燕まつすぐ沈みゆく/野城知里(2002年~)
- ・(838)折鶴のごとくたためる牡丹(ぼたん)の芽/山口青邨(1892~1988年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。