(844)春月の家おぢいさんおばあさん/黒田杏子(1938~2023年)
「昔むかし、ある所に、おじいさんとおばあさんが住んでいました」は昔話の定番の語り出しだ。老夫婦には子がなく、その代わりに『桃太郎』や『竹取物語』では思いがけずに赤子を育てるようになる。桃から生まれたり、竹から出てきたりした子を、夫婦は宝物のように育てる。作者も夫と助け合いながらの2人暮らしで、俳誌…
関連リンク
- ・(843)朝寝して不思議な夢を出入りする/山田佳乃(1965年~)
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- ・(840)余寒なほ不覚に踏外せし一段/山本つぼみ(1932年~)
- ・(839)指に砂糖燕まつすぐ沈みゆく/野城知里(2002年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。