(846)やがてわが真中を通る雪解川/正木ゆう子(1952年~)
春になりました。野の雪が解け、町の雪が解け、奥山の深い雪が解けていくと、川が水量を増し、ごうごうと流れて行きます。これが雪解(ゆきげ)川です。雪解川を見つめながら、この水はやがて自分自身の真ん中を通るだろうという感慨を得ました。流れの勢いや春の訪れに気分が湧き立ったのか、もしくは自分の心の中に凝り…
関連リンク
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- ・(841)故郷(ふるさと)の春夕焼は弔旗なり/土見敬志郎(1935年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。