(847)舐(な)めてゐる飴(あめ)が化石に春の夢/吉沢美香(1999年~)
カフカの小説「変身」は、夢から目覚めると自分の体が虫になっているという奇怪な物語。一方掲句は、春の穏やかな夢の中で、舐めていた飴が突然「化石」へと“変身”する。この化石は琥珀(こはく)ではないか。琥珀は太古の天然樹脂が化石化したもので、植物や虫が内包されているものがある。口中の化石を舐めると、春の…
関連リンク
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- ・(843)朝寝して不思議な夢を出入りする/山田佳乃(1965年~)
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。