(848)龍天に昇らせ妣(はは)と遊びけり/佐藤鬼房(1919~2002年)
「龍(りゅう)天に登る」は春の季題。曲亭馬琴の『俳諧歳時記栞草(しおりぐさ)』を引くと、「[格物論]龍、春分にして天に登り、秋分にして淵に潜む」とある。今日は辰(たつ)年の春分。龍が天に登るなんて嘘(うそ)っぱちもよいところだが、フィクションの季題を使うからこそ、亡くなった母を思う気持ちが素直に言…
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