(849)春の水花瓶の中に曲がりけり/小野あらた(1993年~)
冬の間は刺すようだった水の冷たさが、春になると少しずつ温(ぬる)んできます。水かさを増した小川も、家でふと触れる水もそうです。この句では花瓶の水が器の形に沿って曲がっているといいます。考えれば当たり前のことですが、私たちには見ることができません。同じように、器の中の水の冷たさが和らいでいるだろうと…
関連リンク
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