(850)九つはさびしい数よ鳥雲に/今井杏太郎(1928~2012年)
子どもの遊びで、「十数えよう」という場面はよくある。それでも子どもの頃は、一桁の数字の中で一番大きいこともあり、九を「さびしい」と思ったことはなかった。だが、九の次は十。一桁目は0(ゼロ)となり、位が上がってまた一からやり直し。九つは終わりの一つ前だ。ここには終わりを知る、老いの身の感慨もあるか。…
関連リンク
- ・(849)春の水花瓶の中に曲がりけり/小野あらた(1993年~)
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- ・(845)沢やがて名のある川へ雪間草/小泉展子(1946年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。