(852)蕗のたう洗ふや水の手になりて/常原拓(1979年~)
土手の草原や道端の緑の中から、小さな蕗(ふき)のとうが出る季節になりました。柔らかな葉の蕾(つぼみ)の先が開き、薄黄色の花が覗(のぞ)くくらいが食べ頃です。採ってきた蕗のとうを洗っていると、両の手が指先からだんだんと冷やされます。手に付いた土汚れもきれいになり、両手が澄み切っていきます。「水の手」…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。