(854)地球儀の半球眩し彼岸過/加藤右馬(1990年~)
「暑さ寒さも彼岸まで」と言い、春も秋も墓参を済ませた頃からだんだん過ごしやすくなる。彼岸過ぎの陽光が室内に降り注ぐ。冬の間は暗かった部屋も明るくなって、インテリアの地球儀がぽっかりと光の中に浮き上がっている。まるで地球儀の光の中に見えている側の半球がこの世、ちょうど裏側で見えない半分があの世、とで…
関連リンク
- ・(853)牛死せり片眼(かため)は蒲公英(たんぽぽ)に触れて/鈴木牛後(1961年~)
- ・(852)蕗のたう洗ふや水の手になりて/常原拓(1979年~)
- ・(851)うぐひすのこゑに小さく畳む紙/安里琉太(1994年~)
- ・(850)九つはさびしい数よ鳥雲に/今井杏太郎(1928~2012年)
- ・(849)春の水花瓶の中に曲がりけり/小野あらた(1993年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。