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石巻・向陽地区の風景よみがえる 画家・東城さんの遺作「雲の峰」 コミュニティセンターに寄贈

コミュニティセンターに飾られた「雲の峰」とエリ子さん(左)ら

 2022年1月に88歳で亡くなった石巻市の画家東城照夫さんの遺作の一つである「雲の峰」が25日、市向陽地区コミュニティセンターへ寄贈された。

 作品はベニヤ板に描かれたアクリル画で縦91センチ、横116センチ。1975年ごろの向陽地区を題材にしたもので、金色の稲が広がる田園の上空に、山の峰のようにそびえる雲が描かれている。田園の間に流れる用水路は現在も残り、向陽町4丁目と5丁目、わかばとの境界に当たる。作品の横には現在の街並みの写真を飾る予定だという。

 贈呈式が現地であり、長女のエリ子さん(63)や市市民生活部の五十嵐秀彦部長らが出席。エリ子さんは作品の前で絵について説明し、東城さんの略歴が書かれた資料を手渡した。幼少期を向陽地区で過ごしたという五十嵐部長は「フナ釣りやザリガニ釣りをした記憶がよみがえる」と感激していた。

 向陽地区は78年の宮城県沖地震で、液状化によって家屋が傾くなどの被害が出た。絵画にある原風景が現在は埋め立てられて住宅地となっていることから、エリ子さんは「防災の意識にもつなげてほしい」と話した。

 東城さんが生前に「コミュニティセンターに寄贈したい」と話していたことから準備が始まり、1月に寄贈が決まった。エリ子さんは「絵を見ただけで昭和にタイムスリップできる。かつての景色を思い出すことで皆が元気になってくれるとうれしい」と語った。

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