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選手と指導者の溝埋める手助けに 東松島でセミナー スポーツデータ分析、応用学ぶ

スポーツの技術向上のためのデータ活用について説明する石丸准教授

 仙台大体育学部スポーツ情報マスメディア学科の石丸出穂准教授が、東松島市スポーツ協会の2023年度スポーツセミナーで「スポーツアナリスト」について講演した。試合ごとの技術成績や戦術などのデータを分析するアナリストの役割を解説、スポーツ少年団や部活動などの現場でも応用できるデータ活用について指導した。

 セミナーは21日、同市コミュニティセンターで開かれた。石丸准教授は、2004年アテネ五輪のバレーボール女子日本代表、08年北京五輪バレーボール男子日本代表にアナリストとして同行した経験がある。同大の男子バレーボール部の監督も務めている。

 「アナリストは情報の収集や分析、チーム内への伝達を繰り返している。バレーの試合を例に挙げると、サーブやレシーブなどの試合内容をリアルタイムでパソコンに入力し、同時に時間も記録している。必要な場面の検索ができ、選手や監督に共有できる」と説明した。

 同大男子バレー部ではアナリストが動画を撮影し、選手が自分の動作を10秒以内に確認できるようスクリーンに投影していることや、映像を見ながら選手と学生コーチが意見を交わせるなどの環境ができていることを紹介。スパイクの決定率などを記録した日々の練習内容のリポートや対戦チームのデータなどは、無料通話アプリ「LINE」やインターネット上にデータを保存するオンラインストレージサービスを利用してチーム内に共有し、自由に閲覧できるという。

 「決定率などの数字で表すことで、チームに貢献したり、努力を続けたりしている選手を正しく評価できる。数字で表すと客観的な判断がしやすいが、多くのデータが必要。画像や映像は数が少なくてもデータが取れるが、主観的な判断になり選手にもある程度経験が求められる。両方をバランス良く使うのが大切だ」と述べた。

 石丸准教授は「選手と指導者の間にはギャップがあり、アナリストは映像やデータでその間を埋める手助けをしている。結果につながってもらえればうれしいが、スポーツの現場でのハラスメントのない世界づくりにも必要な役割や技術でもある」と話した。

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