(865)蠅(はえ)生れ赤子の涙吸いにくる/中村和弘(1942年~)
「蠅」は夏の季語だが、「蠅生(うま)る」は春の季語。春に羽化したばかりの蠅だが、暖かくなって日当たりの良い所に止まっていたりする。そんな蠅が赤ん坊の涙を吸うという。新生児は泣いても涙が少ししか出ないが、生後3カ月ごろからは流れるようになる。赤ん坊に感情の出てきたサインなのだろう。夏には盛んに活動し…
関連リンク
- ・(864)咲(さく)からに見るからに花の散(ちる)からに/上島鬼貫(1661~1738年)
- ・(863)暮淋し花の後(うしろ)の鬼瓦/本間友五(生没年不詳)
- ・(862)瀧(たき)桜落ちくるひかり子へ流す/佐怒賀 正美(1956年~)
- ・(861)パレットの絵の具つぶらや春の森/高柳克弘(1980年~)
- ・(860)一僕とぼくぼくありく花見哉/北村季吟(1624~1705年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。