官製談合事件 石巻市職員、業者側に持ちかける
石巻市発注の下水道工事の入札を巡る官製談合事件は、10日逮捕された市職員側が業者側に持ちかけて入札情報を漏らしていたとみられる。地元建設業の関係者らからは「工期を守るため、入札が不調になるのを恐れたのでは」という見方も出ている。
県警捜査2課などは10日、官製談合防止法違反などの疑いで、市下水道建設課技術課長補佐の星洋一(50)=石巻市大街道北4丁目=と下水道建設課係長寺内友和(46)=同市美園2丁目=の両容疑者を、公競売入札妨害の疑いで、同市の建設会社「遠藤興業」専務執行役員遠藤光弥容疑者(67)=同市新成2丁目=を逮捕した。
星容疑者らは昨年2月15日にあった下水道工事「西流下1号石巻中央雨水準幹線築造工事」の制限付き一般競争入札で、最低制限価格を算定する設計書を遠藤容疑者に渡した疑い。
市側が談合を主導したとみられることに関して、土木工事を手がける市内の会社幹部は「市の下水道工事は遅れていた印象。工期を早め、安全に問題なく終わらせられる業者に頼みたいと思っても不思議ではない」と話した。
市内の建設会社社長も「工期内に造るのが発注者の責任。入札不調を嫌がったというのはあるかもしれない」と推測。市議の一人は「市との付き合いで赤字覚悟で仕事を取る業者もいる。今回は市側が配慮したという見方はできる」と語った。
遠藤興業は地元建設業界では有数の規模で、東日本大震災後、市内の大型復興事業を数多く担った。旧門脇小の震災遺構整備工事では2019年11月~20年2月、施工業者を決める入札に3回続けて応札がなく、着工がずれ込む中、20年5月の4回目で遠藤興業のみが参加し、落札した。
市内の別の建設会社社長は復興への同社の貢献度との関連を指摘。「市にとっては多くの復興工事を請け負ってもらった恩もあるのだろう」とみた。
市内で上下水道や土木工事を担う会社の社長は「遠藤興業は技術も実績もある。ただ、市が工事を任せたかったのなら随意契約を結ぶのが筋なのに」と首をかしげた。
一方で、復興工事の減少との関連性を背景に挙げる声もある。市内は現状、業者数と仕事量が釣り合っていないという。ある建設会社社長は「少ないパイを取り合い、この2、3年は他地域の仕事を取りにいくこともある。大きな企業でさえ、小さい仕事を取りにいかざるを得ないのかもしれない」と話した。
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