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クルーズ船の石巻寄港、伸び悩み 今年は予定ゼロ 協議会「粘り強く誘致」

昨年8月、石巻港に寄港したクルーズ船。石巻市などでつくる協議会が誘致に努めているが、今年はまだ寄港の予定が決まっていない

 石巻市の石巻港に寄港するクルーズ船について、現時点で今年4~12月は寄港予定がないことが12日、市などでつくる誘致協議会への取材で分かった。2023年は5回寄港していた。クルーズ船は地元への経済効果が高いため、全国の自治体が誘致に動いている。協議会は「競争は激しいが、引き続き誘致に努めていく」としている。(都築理)

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 クルーズ船を巡っては、石巻地方の2市1町と松島町、商工・観光団体などが同港への誘致協議会を組織。乗客のおもてなしといった受け入れ態勢の充実、運航会社へのセールス活動などに取り組んでいる。船は主に同港の雲雀野中央埠頭(ふとう)に着岸する。

 協議会事務局の石巻市観光政策課によると、停泊の仮予約はあったものの、12日時点で年内の寄港予定はゼロという。23年は4月時点で5回の寄港が決まっていた。

 昨年2回寄港した「にっぽん丸」を運航する商船三井クルーズ(東京)の広報担当者は、取材に「9月までに石巻への寄港予定はない。10月以降のツアーについては調整中」と述べた。昨年寄港した他の2船の運航会社のホームページによると、2船とも現時点で寄港予定はない。

 関係者らによると、寄港地を含めた運航スケジュールは、停泊場所の確保や旅行商品販売などの都合上、通常は入港の半年前までに決まるという。

 同課は取材に対し、運航スケジュールには流動的な部分があり、年内の石巻寄港がこれから決まる可能性もあると説明。その上で、運航会社が寄港を見送っている理由について(1)工業港のため景観面で他の寄港地に見劣りする(2)旅客ターミナルの未整備-などが考えられるとした。

 内藤昌利課長は、クルーズ船誘致における同港のハード面の不利を認めつつ「乗客にツアーなどで東日本大震災の震災遺構を訪れてもらうことは、市の復興を内外にアピールする機会にもなる。今後も粘り強く運航会社にセールスし、官民でおもてなしを充実させるなどして引き続き誘致に取り組む」と話した。

 県港湾課によると、県内では今年、仙台市の仙台港で8回のクルーズ船寄港を予定している。

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