山から見てみた石巻(1) 雄勝地区・硯上山 中心部と海岸線を一望
石巻地方の山々は、豊かな自然で大地や海の恵みを育んできた。雄大な姿は太古から変わらない。一方で、地上の景色は東日本大震災で大きく変わり、沿岸では新たな街ができ、高い防潮堤が築かれた。山からの眺めは今、どうなっているのか。記者が登って確かめてみた。
木々の間を縫うように整備された登山道を歩くこと約30分。ようやく山頂に出ると、石巻市と雄勝地区の両中心部を見渡せる絶景に迎えられた。険しい道を登ってきた苦労が報われた。
北東方面に連なる山々の隙間から見えるのは、震災の津波で被災し、再建が進む雄勝地区の中心部。リアス海岸が美しい雄勝湾もはっきりと分かる。地上で見ると巨大な「海岸線の美術館」の壁画も、ミニチュア模型のように小さく見えた。
振り返って南西方向を見下ろすと、石巻の中心部から東松島市の奥松島まで一望できる。目をこらすと日本製紙石巻工場から立ち上る煙も見て取れた。
標高519.1メートル。登山道の入り口まで車で向かい、山頂までは約2キロ歩く。中盤までは平たんな道が続くが、残り500メートルは徐々に傾斜が急になる。最後の200メートルは大粒の汗を落としながら一歩一歩を踏ん張って登り切った。山頂の風が汗ばんだ肌に気持ちいい。達成感を味わいながら絶景を楽しんだ。(漢人薫平)
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