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パラオで海藻養殖構想 同国政府と連携、3ヵ年計画 東松島出身の大学院生とノリ漁師

パラオでの海藻養殖構想を説明する(右から)成沢さんと相沢さん

 東松島市出身の大学院生成沢みくさん(25)と同市のノリ漁師相沢太さん(44)が、太平洋の島国パラオでアオノリなどの海藻を養殖する構想を進めている。食用とするだけではなく、海藻の二酸化炭素(CO2)吸収量を排出権として企業に販売し、海洋資源の持続的な利用を目指す。パラオ政府と連携した3カ年の計画で、19日から現地で養殖エリアの選定に取り組む予定だ。

 成沢さんは東北大大学院環境科学研究科の博士課程で環境人類学を研究する。昨年7月、ハワイであったサマースクールでパラオ大統領と交流した縁で、同国の海洋環境アドバイザーに就いた。昨年11月の気候変動に関する国際会議にも同国関係者として出席した。

 パラオの海洋資源の活用策を探る中、海草や藻類がCO2を吸収する「ブルーカーボン」の考え方に着目。排出権取引は世界的に広がっているが、同国に海藻養殖のノウハウはほぼないため、東松島での環境教育などを通じて知り合った相沢さんに協力を求めた。

 2人は計画の第1段階として、19日~6月1日にパラオに滞在し、同国の農業水産環境大臣と構想に関して協議。現地の海藻から養殖用の種の収穫を試みる。

 相沢さんは「パラオでは透き通った海がリゾート地になっているが、濁っているエリアもある。山から流れてくる有機物を含む水で濁っている方が養殖には向く」と指摘。主要産業の観光業とすみ分けできると見通す。

 成沢さんは海藻養殖に関する住民の意識調査も行う予定で「現地で何が求められているのかをフィールドワークを通じて理解し、パラオの人たちが主体となって養殖事業が進められるようにしたい」と語る。

 2人は5月9日、県庁で佐々木均県環境生活部長と面会し、構想の趣旨を説明した。佐々木部長は「日本を飛び出して活躍するのは素晴らしい。パラオの人に喜ばれる成果を期待している」とエールを送った。

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