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女川原発2号機 9月再稼働に向け安全対策完了 防潮堤建設、耐震補強も 東北電

防潮堤工事について説明を受ける原子力規制委の委員(右から3人目)=2022年11月

 東北電力は27日、9月ごろの再稼働を目指す女川原発2号機(女川町、石巻市)の安全対策工事が完了したと発表した。防潮堤のかさ上げや耐震補強、重大事故に備えた電源、冷却機能確保策の多重化などを11年かけて講じ、再稼働に向けた施設面の整備が終わったことになる。今後は原子炉起動に向けた作業や検査を進める。

 追加実施していた原子炉建屋などの火災防護対策が今月に完了。燃料装荷を前にした原子力規制委員会の使用前確認が24日に終了したことを受け、27日に工事完了を決定した。

 安全対策工事は2013年5月に開始。再稼働に向けた新規制基準適合性審査は13年12月に申請した。主な安全対策工事では、海抜約29メートル、総延長約800メートルの防潮堤を建設。想定する最大の揺れ(基準地震動)を580ガルから1000ガルに引き上げ、原子炉建屋などに耐震補強を施した。

 重大事故の発生に備えては、外部電源の喪失を想定したガスタービン発電機を配備。原子炉の冷却機能が失われた場合の対策として大容量の淡水貯水槽、送水ポンプ車も整備した。原子炉格納容器の破損を防ぐフィルター付きベント(排気)装置も新設した。

 審査のうち、基本設計に当たる「原子炉設置変更許可」は20年2月に合格した。一方、審査の過程で防潮堤の地盤改良といった追加工事が必要になるなどし、完了時期は7回延期。申請時に示した16年3月から約8年ずれ込んだ。工事費の見込みは当初の3400億円程度から5700億円程度に増えた。

 工事完了を受け、重大事故やテロを想定した訓練を6月に実施し、7月に原子炉への核燃料装荷を計画。再稼働は9月ごろ、営業運転開始は10月ごろを予定する。

 樋口康二郎社長は「安全確保を最優先に一つ一つのプロセスにしっかりと対応し、13年ぶりの再稼働に向けて確実かつ丁寧に進める」とのコメントを出した。

 女川原発2号機は東日本大震災で基準地震動を超える揺れに遭い、1~3号機が自動停止。約13メートルの津波が襲来し、ポンプ室の地下部分が浸水。非常用発電機の一部などが動かなくなった。

須田善明女川町長 着実な検証実施を要請

 再稼働の工程や営業運転で不具合などが発生することも予想される。検証や対策を着実に実施するよう要請している。再稼働までの分かりやすい情報提供、安全性向上を引き続き求め、住民の安全・安心確立のため、工事の結果や検査状況の確認を継続していく。

斎藤正美石巻市長 丁寧な説明求めていく

 今後行われる各種試験や検査にもしっかりと対応し、安全性のさらなる向上と、地域住民に対する丁寧な説明や情報発信を果たすよう求めていく。市としては安全協定に基づく立ち入り調査を行うなど、引き続き県、女川町と連携して安全性の確認に努める。

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