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復興支援の綿花すくすく育て 苗5000株、市民ら定植 東松島・大塩

綿花の苗を丁寧に手植えする参加者たち

 東北最大規模の綿花畑がある東松島市大塩の赤坂農園で25日、毎年恒例の綿花の定植体験会が開かれた。

 体験会は、綿花栽培などを通して東日本大震災の被災農家を支援する「東北コットンプロジェクト」の一環。農園を経営する農業法人イーストファームみやぎ(美里町)が主催した。

 市内外から集まったボランティアや日本ウェルネス宮城高野球部の1年生ら約40人が参加。50アールの広大な畑に、約5000株の苗を1株ずつ丁寧に手作業で植えた。

 初めて参加した同市大曲のパート尾張友香さん(45)は「糸などになる綿花がどうやって栽培されているのか興味があった。育て方を学んで帰りたい」と話した。娘で同市大曲小6年の庵(いおり)さん(11)は「植えるのが楽しかった。綿花が咲く頃にまた来たい」と笑顔だった。

 今年の綿花の生産量は、赤坂農園と美里町二郷にあるビニールハウスを合わせた栽培面積約60アールで、計約420キロを見込んでいる。手植えした農園の綿花は、11月23日に開催する「綿摘み収穫祭(東北コットンフェスティバル)」で摘み取る予定。

イーストファームみやぎ赤坂代表、1万6000世帯に種配布

 東北コットンプロジェクトの一環として2013年から綿花を栽培する赤坂農園。経営する農業法人イーストファームみやぎの代表の赤坂芳則さん(74)は今年、綿花を市民により身近に感じてもらおうと、市内ほぼ全世帯に花の種を配布する取り組みを始めた。赤坂さんは「東松島のどこに行っても綿花が見られる街にしたい」と意気込んでいる。

 種は4月、市内の新聞販売店に協力を依頼し、市のほぼ全域に当たる約1万6000世帯に届けた。1世帯当たり約10粒を配り、種を入れた袋には栽培手順や同市で綿花栽培が始まった経緯などを記した。綿花は畑以外に小さなプランターなどでも栽培でき、家庭でも簡単に生育過程を楽しむことができるという。

 種の配布には、サントリーホールディングスが東日本大震災で被災した宮城、岩手、福島3県で地域活性化を目指す団体・個人を応援する「シン・みらいチャレンジプログラム」を活用。「市民みんなで創るワタ開くまちづくり」をテーマに、赤坂さんが個人で応募した。

 被災地の「希望の花」として栽培が始まった綿花を復興のシンボルにし、市民にも種をまいてもらい、新たな東松島ブランドの確立と地域活性化を目指して企画した。街じゅうの家庭、施設で綿が咲く夢のあるまちづくりなどを訴え、助成先に選ばれた。

 赤坂さんは「綿花の圃場として全国有数の産地になれたのは、市民をはじめ、多くの人たちの手助けがあったから。種は感謝の意味も込めて贈った。みなさんにも綿花作りを体験してもらえればうれしい」と語った。

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