石巻市震災遺構・大川小で解説ガイド 副館長らスタッフ対応 第三者視点の伝承へ
東日本大震災の津波で児童・教職員計84人が犠牲になった石巻市の震災遺構「大川小」を指定管理する市震災遺構指定管理グループは9日、スタッフによる有料の解説ガイドを始めた。遺構の展示内容に記録や証言に基づいた説明を加えて施設を案内。来場者に震災当時の状況を伝え、今後の防災に役立ててもらう。
大川小では、遺族らでつくる「大川伝承の会」などが予約制で語り部をしているが、それを知らずに来場し、当日に希望する来場者も少なくないことから実施を決めた。
ガイドを主に担うのは施設内の伝承施設「大川震災伝承館」副館長の遠藤裕文さん(55)。初日は関東などから訪れた3人が参加した。
遠藤さんは伝承館の展示に沿って大川地区の地形や当時は学校が避難所に指定されていたことなどを説明。遺構の旧校舎や裏山への登り口などを案内し、児童らが津波襲来の直前まで校庭にとどまっていた状況を伝えた。避難の遅れにつながったと思われるさまざまな要因を挙げ「自分ならどういう行動を取るか。自分事として考えてほしい」と呼びかけた。
埼玉県朝霞市の団体職員永島雅子さん(62)は「大川小には何度か来ているが、ガイドを受けたのは初めて。災害の恐ろしさだけでなく、教訓を学ぶ重要性を強く感じた」と話した。
遠藤さんは2022年4月から大川小に勤務する。ガイドを始めるに当たり、学校側の事前防災の不備を認めた裁判記録を読み込み、市や一部遺族と解説内容を協議。4月下旬から試行を繰り返し、準備を進めてきた。
遠藤さんは「体験を交える語り部とは違う第三者の立場で情報を伝える。大川小で起こったことを知り、考えるきっかけにしてほしい」と語った。
ガイドは不定期で、実施前日に市震災遺構のホームページなどで周知する。
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