(920)あやめ艸(ぐさ)足に結(むすば)ん草鞋(わらじ)の緒/松尾芭蕉(1644~1694年)
芭蕉は1689(元禄2)年旧暦5月4日に仙台に着き、8日にたって壺(つぼ)の碑(多賀城碑)を見学した。出発の折、世話役だった画工の加右衛門は芭蕉たちに紺の染緒をつけた草鞋を贈り、芭蕉は「風流のしれもの」と感嘆した。掲句、印象的だった「紺の染緒」は省略し、「ちょうど端午の節句だから、魔よけの菖蒲(し…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。