震災伝承活動 被災3県の団体、継続「不安」89% 石巻・メモリアルネットが調査
石巻市の公益社団法人「3.11メモリアルネットワーク」は11日、岩手・宮城・福島3県で東日本大震災の伝承活動に取り組む団体と、施設の運営組織を対象にした2023年分の活動調査の結果(速報)を公表した。活動継続の先行きについて「どちらかというと不安」「大いに不安」との回答が伝承団体で89%、運営組織で62%に上った。将来の資金難を懸念し、公的支援を必要とする回答が目立った。
3県で震災学習プログラムを提供する18伝承団体と、16施設(13組織)にアンケートを依頼した。石巻地方からは一般社団法人女川町観光協会、大川伝承の会など5団体、石巻市震災遺構や女川町まちなか交流館などの6施設を運営する5組織が回答した。
次世代への教訓継承を実現するための期間として、「1年後」「10年後」「30年後」などと分けて活動財源の見通しを質問した。「はっきり見通しがついている」「だいたい見通しがついている」と答えた伝承団体は「1年後」については10団体と半数以上だった。一方、「10年後」は1団体、「30年後」はゼロ団体だった。施設では1運営組織が「30年後」と回答した。
伝承継続のために重要な資金項目については「人件費」が最多。伝承継続に関する公的な資金支援を「十分である」と回答した団体、施設はゼロだった。
「第2期復興・創生期間(21~25年度)」後の公的な資金支援への期待に関しては「拡充」を求める伝承団体が44%、運営組織は61%だった。「23年度レベルの維持」を求める団体で50%、運営組織で38%だった。両者とも「収束」を期待する回答はゼロだった。
調査結果は同法人のウェブサイトで閲覧できる。中川政治専務理事は「防潮堤建設などのハード面には大規模な予算が設けられてきた一方、災害から命を守るための教訓を次世代に受け継いでもらうためには、ソフト面のサポートの拡充が求められる」と話し、「震災伝承に取り組む人々は、活動で得る金銭や補助以上の価値を生み出している。取り組みを次の世代にバトンタッチするためにも支えていく必要がある」と訴えた。
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