選手、震災伝承を誓う 女子サッカー「テイラーカップ」 好プレーで勇気届ける 女川
東日本大震災を後世に伝える女子サッカーの親善試合「テイラー・アンダーソンカップ2024」(実行委員会主催)が8日、女川町のWACK女川スタジアムで開かれた。選手たちは伝承を胸に、観客に力強いプレーで勇気を届けた。
大会は、石巻市で外国語指導助手(ALT)を務め、震災の津波で犠牲になった米国出身のテイラー・アンダーソンさん=当時(24)=の名前を冠し、震災の犠牲者を追悼するとともに、被災地に元気を届けるために企画し、今年で2回目。
試合には、国内や欧州で活躍する東北にゆかりのある選手13人が「チームテイラー」として出場。仙台大と付属校の仙台大明成高(仙台市)の女子サッカー部の混合チーム「チーム朴沢学園」が対戦相手として臨んだ。
チームテイラーは試合開始6分、FW武田菜々子=マイナビ仙台レディース=からパスをもらったMF遠藤ゆめ=同=が先制。前半は攻めの姿勢で、武田が連続得点するなど5得点を挙げた。チーム朴沢学園はGK可瀬望乃加=仙台大1年=がシュートを止めるも、攻めきれず得点できなかった。後半もチームテイラーの勢いは止まらず、MF佐々木美和=マイナビ仙台レディース=が連続2得点を決めるなど、10-0で圧勝した。
マイナビの遠藤(多賀城市出身)は、仙台大明成高3年だった昨年に続き出場。両親が共に石巻市出身で、震災当時は支援物資を届けに同市を訪れていた。「今年からはプロとして、宮城県出身者として、見てくれる人に勇気を届けられるプレーをしたい」と話した。
7日にはチームテイラーの選手らが、テイラーさんの記念碑が設置された石巻南浜津波復興祈念公園を訪れた。テイラー文庫と名付けた本棚が設置されている同市渡波小も訪問し、本棚を製作した同市の遠藤伸一さんや児童と交流した。
寺田美穂子実行委員長(53)は「選手の中には震災の記憶がない世代もいる。被災地に足を運ぶことで、震災を知り、伝える大切さを実感してほしい」と話した。今後については「10年続く大会にして、応援してくれる観客に、前向きに震災を伝承していきたい」と語った。
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