(925)井戸をつく音に目覚めし帰省かな/金子兜太(1919~2018年)
「故郷秩父にて」の前書きがある。戦局の影が忍び寄る1943(昭和18)年、帰省して久しぶりの生家の朝を全身で感じている。「つく音」ということから釣瓶(つるべ)井戸だろう。水をくんでいるのは母親か。桶(おけ)の落ちて響く音が懐かしい。兜太はこの後繰り上げ卒業し入隊、戦地へと赴く。俳人兜太の原点は、故…
関連リンク
- ・(924)蛇去つて戸口をおそふ野の夕日/吉田鴻司(1918~2005年)
- ・(923)大坂や見ぬよの夏の五十年/藤堂蟬吟(1642~1666年)
- ・(922)蛇を見るときも一番前に立つ/今瀬剛一(1936年~)
- ・(921)赤い花買ふ猛烈な雲の下/富澤赤黄男(1902~1962年)
- ・(920)あやめ艸(ぐさ)足に結(むすば)ん草鞋(わらじ)の緒/松尾芭蕉(1644~1694年)