(926)消えてなおサイダーの泡空めざす/乾佐伎(1990年~)
サイダーをコップに注ぐと、しゅわしゅわと気泡が底から立つ。この気泡が全て気化した後も、見えなくなった泡は空を目指して上っていると見た。サイダーが夏の季語。「消えてなお」の一語に、サイダーという季語の持つ青春性への憧憬(しょうけい)のようなものが感じられる。ひょっとしたら、青春時代は過ぎ去っても、そ…
関連リンク
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- ・(922)蛇を見るときも一番前に立つ/今瀬剛一(1936年~)
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。