いしのまき食探見 > 大麦 初夏名産、ビールも好評
海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。
大 麦
黄金色の穂が風に揺れ、町に夏の訪れを告げる。県内有数の大麦の産地である石巻に、麦秋が来た。
麦茶などに加工する六条大麦は、県内の作付面積が2023年産で1450ヘクタール。全国7位の広さを有する。その中で石巻市は665ヘクタールと県内最大、東松島市は県内5位の81ヘクタールを誇る。
いしのまき農協で12日、今年初の等級検査があり、計114トンが集荷された。今期は約2200トンの収穫を見込む。生産者である石巻市沼津の農事組合法人アスターファーム阿部勝徳代表理事(54)は「まずまずの出来栄えだ」と話した。
東松島市では二条大麦、通称「ビール麦」の栽培も進む。同市の一般社団法人東松島みらいとし機構(HOPE)などは東日本大震災の津波で被災した畑を生かす「希望の大麦プロジェクト」を14年に始動。16年、クラフトビール「GRAND HOPE(グランドホープ)」が誕生した。かんきつ系のさっぱりした味が飲みやすいと好評だ。
ニッカウヰスキー(東京)と、岩手県二戸市の酒蔵「南部美人」のオファーが、それぞれあり「希望の大麦」を原料にしたウイスキー醸造も始まった。ともに27年完成を目指す。
HOPEの引間世枝美代表理事(50)=美里町=は「想定外の展開だが、大麦栽培が50年後も続く地域産業にし、美しい大麦畑の風景を残したい」と語った。(西舘国絵)
<メモ>
クラフトビール「GRAND HOPE」は550~600円。東松島市野蒜の「のびる村直売所」のほか、石垣商店、大江酒店で販売中。野蒜ケ丘3丁目「ビアベース カンパネラ」などでも楽しめる。
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