いしのまき食探見 > ベッコウシジミ 川の恵み凝縮、だし絶品
海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。
ベッコウシジミ
キラキラとベッコウ色に輝く、石巻市の特産品「ベッコウシジミ」。6月に漁が解禁され、北上川の恵みが凝縮されたシジミに舌鼓を打つ季節がやってきた。
種類はヤマトシジミで、肝臓の働きをよくする成分を豊富に含む。北上川産は泥臭くないのが特徴。砂地の川底で育つため、だしを取るのにも適したシジミに成長する。
同市成田でシジミ販売などを営む「池田屋」でも今季の漁を始めた。北上追波漁協に所属する池田政優社長(45)がおいと2人で、早朝5時から船に乗る。午前中いっぱい底引き漁を繰り返し、1日約50キロ採る。
母の恵美子さん(74)と姉の阿部みのりさん(53)は砂抜きなどを担当。酸素を吸わせ、鮮度を保ちながら2日かけて丁寧に行う。
池田社長は「昨年の暑さと塩分濃度の高さが影響して収量が少ない。おいしいシジミを届けられるように漁を続け、成長を見守っていきたい」と語る。
石巻市小船越の道の駅「上品の郷」の「ダイニングたまり場」では6月中旬から期間限定で、ベッコウシジミラーメンを提供する。シジミのだしを最大限生かし、あっさりとした味わいに仕上げる。
佐々木俊典店長(48)は「みそ汁とは違う味わいを楽しめる。子どもからお年寄りまで多くの人に食べてほしい」と話す。
(相沢春花)
<メモ>
池田屋では砂抜きしたベッコウシジミを1キロから販売する。冷凍シジミも取り扱い、地方発送もできる。お勧めの調理法は、バターとニンニクを加えた酒蒸し。仕上げに塩こしょうで味を調え、お好みでネギを加える。残った汁にお湯を注げば、シジミスープに早変わりし、1度で2度おいしい。
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