閉じる

フレッシュマン奮闘 > 石巻消防署南分署・遠藤夢士さん(19)

消防車の装備を点検する遠藤さん

<安心安全へ日々努力>

 小学生の頃から遠藤夢士(ゆめし)さんの夢は変わらず消防士。学校生活や部活動、日々の生活を支えてくれた地元の人に恩返しがしたいという思いを胸に、訓練に励んでいる。

 石巻市大街道地区出身。石巻西高卒業後、県消防学校で1年間、消防士の基礎などをたたき込んだ。今年4月に石巻消防署南分署の予防係に配属された。

 現場への出動も数回経験したが、指示されたことをミスなくこなすことで精いっぱいだという。「今は完全に知識不足。火事などは起こってほしくないが、現場で経験を積み、スムーズに消火活動をできるようになりたい」と意気込む。

 東日本大震災で発生した火災の光景が強く記憶に残る。当時は6歳で、母親と一緒に同市大街道小に兄を迎えに行ったところに津波が押し寄せ、そのまま避難した。窓からは門脇、南浜地区の火災で赤く染まる空が見えた。「あの現場にも懸命に火を消している人たちがいた。その事実と、生かされた命であることを忘れずにいたい」と話す。

 勤務時間以外にも消火栓の位置などを確認する姿を見たという南分署の下山義樹総務係長(44)は「自主的に取り組む姿からは責任感とひた向きさが伝わってくる。消火活動などにも役立っていて、必要な能力が高まっている」と評価する。

 現在は音楽隊の養成隊員としても活動。楽器演奏は初めてで、アルトサックスを早く吹けるようになろうと練習に取り組んでいる。

 目標も増えた。救命救急事案が増加傾向にあることから、自分の活躍できる場を広げようと救急救命士の資格取得に向けた勉強にも精を出す。「できることが増えれば、より市民を助けることができる」と安心安全な街への貢献を見据える。

  ◇

 夢や希望、不安を胸にこの春、新たな一歩を踏み出した石巻地方の若者たち。辞令交付などから約2カ月が過ぎ、奮闘の日々が続く。教育や経済、医療、行政などの現場に立ち、地域の将来を担う新社会人-フレッシュマン-を紹介する。(随時掲載)

関連リンク

関連タグ

最新写真特集

石巻かほく メディア猫の目

「石巻かほく」は三陸河北新報社が石巻地方で発行する日刊紙です。古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた猫のように愛らしく、高すぎず低すぎない目線を大切にします。

三陸河北新報社の会社概要や広告などについては、こちらのサイトをご覧ください ≫

ライブカメラ