(938)大夕焼より妹の生まれけり/坂本佳樹(2005年~)
スケールの大きな句だ。いま本当に妹が生まれたと見ても良いし、大きな夕焼けの方角に妹の姿がひょっこり現れたという景色でも良い。大事なのは、沈みゆく太陽の方から、何かが生まれたということ。しかも生まれてくるのが「妹」というのは絶妙で、大山祇命(おおやまつみのかみ)と天照大御神(あまてらすおおみかみ)と…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。