閉じる

ノリ養殖に打撃 1、3月の暴風高波被害「資材処分費の援助を」 漁業者、市に要望

高波と暴風で壊れたノリ養殖の網やいかだの廃棄物。矢本支所だけで軽トラック60台分に上る

 東松島市特産のノリ養殖業が1、3月の暴風や高波で甚大な被害を受け、漁業者が廃棄物処分費の支援を市に求めている。ノリや資材を含む被害総額は約2億200万円に上った。関係者は「ここまでの被害は東日本大震災以降初めてだ」と窮状を訴える。

 市内では1月21日、3月29日に発生した暴風、波浪の影響で、水揚げシーズンを迎えていたノリ養殖のいかだが破損したり、いかりが流失したりするなどの被害が出た。

 県によると、被害額の内訳は県漁協宮戸西部支所で約1億2300万円、宮戸支所で約5500万円、矢本支所で約2300万円、鳴瀬支所で約100万円。カキ養殖なども被害を受け、4支所全体で計2億3300万円の被害が確認された。

 ノリ養殖の漁師10人が所属する矢本支所では、計1200台ある養殖いかだのうち200台が破損した。その後生産する予定だった数量も含め、乾のり約174万枚分のノリも失われた。

 今季は国内最大の産地である九州・有明海の不作などの影響で、平年より単価が高かった。相沢敏晴支所長(51)は「損失分を水揚げできていたら、支所全体で4000万円ほどの売り上げになっていた」と話す。

 支所は、養殖施設の復旧には1漁業者当たり500万円前後を要すると見通す。及川輝明運営委員長(65)は、今回の被害による廃業者はいないと見るが「震災から復旧し、やっと軌道に乗ったところだったのに」と肩を落とす。

 被災した漁業資材の処分費も追い打ちをかける。4支所で軽トラック325台分に上る廃棄物の処分費は約1000万円を見込むが、漁業共済などによる補償はない。

 及川運営委員長は「今季の単価が高くなければ、もっと大きな損失になっていた。近年は高水温の影響で漁ができる期間が短くなっており、今後に不安が残る」と語る。

 4支所でつくる市漁業振興協議会は6月18日、廃棄物処分費の援助を市に要望した。市は被害状況を調べ、支援する方針を示した。渥美巌市長は「自然相手の漁業は異常気象などの影響を受ける。要望を踏まえた補助の実施を目指す」と応えた。

石巻と女川、ワカメなど計3.6億円の被害

 県漁協によると、1~3月の暴風、高波の影響では、石巻市と女川町の水産業でもワカメやホヤ、ホタテの養殖などで計約3億6540万円の被害が発生した。

 1月21日の被害総額は石巻市内が約8525万円で、そのうち県漁協北上町十三浜支所管内がワカメを中心に約8345万円に上った。女川町は50万円だった。

 2月26日は漁船の損傷なども確認され、石巻市で約5390万円、女川町で1080万円だった。

 3月29日は石巻市が約2億1494万円。うち十三浜支所が約1億14万円、石巻地区支所が3600万円、表浜支所が3000万円だった。女川町では被害が確認されなかった。

関連リンク