(939)我消ゆるわづかばかりの片陰に/岸本尚毅(1961年~)
夏の昼間の太陽は真上に昇り、全てのものに短く、くっきりとした影を落とします。道沿いの木々や建物によって、道の片側に作られる日陰が片陰です。照り付ける日差しの強さは言うまでもありません。少しでも涼もうと道行く人々は影のある方へと吸い寄せられて行きます。自分自身も同じように片陰へと消えたと詠んでいます…
関連リンク
- ・(938)大夕焼より妹の生まれけり/坂本佳樹(2005年~)
- ・(937)おやすみと電話を切つて金魚見る/黒岩徳将(1990年~)
- ・(936)大烏賊の腸つかみだす暑さかな/眞鍋呉夫(1920~2012年)
- ・(935)紫陽花や雨にも日にも物ぐるひ/有井諸九(しょきゅう)(1714~1781年)
- ・(934)形代へ吹く息けもの臭きかな/恩田侑布子(1956年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。