<大観音の傾き(16)>着地点はここだぞ 山野辺太郎
大観音の見まわりを終えて出張所に引き揚げてから、修司は報告がてら内藤に尋ねてみた。
「竜の牙を押すのを手伝ったことがあるそうですね」
自席に座っていた内藤は、かたわらに立つ修司を見上げると、
「一度だけね」と言った。「不安だったんだ。確かに傾いてるのかもしれない。そんな気がすることもある。それなのに…
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