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教訓伝承、自販機に愛梨ちゃんの絵 震災で犠牲 東松島・奥洲物産運輸、伊藤園と企画

自販機の設置を喜ぶ菅井社長(右)と佐藤さん(中央)ら

 東日本大震災で亡くなった石巻市の幼稚園児佐藤愛梨ちゃん=当時(6)=が生前に描いた絵をデザインした自動販売機が月命日の11日、東松島市小松の奥洲物産運輸に設置された。母の美香さん(49)の教訓伝承活動に大手飲料メーカー伊藤園が賛同し、防災や避難の重要性を広く伝えようと共同で企画した。

 愛梨ちゃんが色鉛筆で描いた海の中の世界を自販機にラッピングした。好きだったという虹がかかり、ハート形の魚はほほ笑みながら「一番の防災 それは…『忘れないこと』」と震災伝承の大切さを呼びかける。「地震だよ! 津波だよ!」「迷わず高台へ」などの防災メッセージも側面に添えた。

 愛梨ちゃんは震災当時、通っていた私立日和幼稚園(石巻市)で地震に遭った。乗るはずのなかった時刻の送迎バスで高台の園から低地に送られ、津波と後の火災に襲われて亡くなった。

 絵は年長児だった2010年の夏に東北電力主催の絵画コンクール「想像の海の生きものたち」に応募した作品。本来返却されないが、震災後に同社によって手元に戻された。

 美香さんは「にぎやかな絵で愛梨が楽しみながら一気に描き上げていたことを覚えている。自販機を見ることで改めて防災や避難の大切さを考えてほしい」と願った。

 伊藤園は被災地をはじめ各地に自販機を設置する方針。売り上げの5%は、亡くなった愛梨ちゃんらが発見された場所に咲いたフランスギクを全国に広め、命の大切さを伝える「アイリンブループロジェクト」の活動に寄付される。

 場所を提供した奥洲物産運輸の菅井武英社長は「全国の協力会社やドライバーに利用してもらい、防災への思いが広がってほしい」と語った。

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