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空自70年目の松島基地、共存共栄の現在地(3) 相次ぐ外来機 異例続き、くすぶる不安

松島基地に飛来した米軍のF16戦闘機を視察する渥美市長(左)=6月13日

 航空自衛隊松島基地(東松島市)上空を旋回した機体が高度を下げ、タイヤから白煙を上げて着陸した。6月13日夕、米軍の大規模統合演習「バリアント・シールド」に伴う訓練で、米空軍のF16戦闘機2機が同基地に飛来した。

 駐機場でF16を出迎えた東松島市の渥美巌市長は、報道陣の取材に「現在の世界情勢や安全保障環境を考えると、演習は必要不可欠。抑止力にもつながる」と理解を示した。

■三沢基地の代替

 松島基地の任務は、F2戦闘機パイロットの養成、曲技飛行チーム「ブルーインパルス」による広報、捜索・救難-の三つで、通常、戦闘部隊が展開することはない。基地が初めて米軍の訓練拠点となったことを含め、異例ずくめの事態と言えた。

 米軍訓練に先立つ4月23日には、空自三沢基地(青森県三沢市)の大型無人偵察機グローバルホークも初めて姿を現した。

 同機は2万メートル近い高高度から地上の30センチ大の目標を確認できるとされ、その運用は秘密のベールに包まれている。松島飛来やその任務などに関する報道発表などがないまま、26日朝に飛び去った。エンジン音は基地所属のジェット機よりも格段に静かで、隠密行動を印象づけた。

 市や防衛省などへの取材を総合すると、松島基地拠点の米軍訓練と無人偵察機の飛来は、ともに三沢基地が敵国の攻撃や悪天候などで使用できない場合に備え、松島を代替飛行場として活用する目的という。

■丁寧な説明必要

 市はこうした外来機の飛来について「ただちに基地機能強化につながるものではない」(渥美市長)としているが、市内では、米軍訓練の常態化など基地機能の変容を懸念する声が少なくない。

 立沼地区自治会長の千葉純さん(75)は「国際情勢が緊迫化しており、今後は戦闘機がもっと頻繁に飛来するようになると思う。松島が標的にならないか」。無人機については「知らない間に飛んできて、薄気味悪い」とつぶやいた。

 市内の会社員男性(42)は「(米軍訓練などは)政府が勝手に決めるので地元には何もできない。諦めるしかない」と話した。

 市が掲げる基地との「共存共栄」の関係を維持していくには、訓練の安全確保はもちろん、市民の不安を払拭できるような丁寧な説明が欠かせない。松島基地司令の渡部琢也空将補は「地元の協力なくして基地の安定運用はなし得ない」と語り、可能な限り、地元への情報提供に努めていく方針を示した。

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