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都市対抗野球 日本製紙石巻、2回戦で涙 自慢の救援陣、終盤に崩れる

敗れた後、健闘をたたえ合いながら球場を後にする日本製紙石巻の選手
NTT西日本戦に3番手で登板し無失点と好投した日本製紙石巻の川合

 第95回都市対抗野球大会(公益財団法人日本野球連盟など主催)は25日、東京ドームで2回戦3試合を行った。2013年大会以来の初戦突破を果たした日本製紙石巻(石巻市)は、近畿地区第5代表のNTT西日本(大阪市)に0-9で敗戦。同年に記録した最高成績の8強には届かなかった。応援に駆け付けた多くの市民らが選手にねぎらいの拍手を送った。(大谷佳祐、相沢春花)

   ◇

▽2回戦(東京ドーム)

日本製紙石巻(石巻市) 
 000000000-0 
 20000025X-9 
NTT西日本(大阪市) 

(日)小寺、塚本、川合、鈴木、相内、佐藤亜(TDK)、星野、中島、登藤、秋田-坂口、石井(七十七銀行)(N)浜崎-小泉
▽二塁打=水島、天井、浜田、藤井(N)

【評】日本製紙石巻は自慢の救援陣が終盤に崩れた。先発小寺が初回に3四死球をきっかけに2点を先取されるも、二回途中からは細かい継投で無失点に。耐える展開が続いた0-2の七回、1死満塁で8番手中島が中犠飛、9番手登藤が適時打を浴びて2点を失った。八回には主戦秋田がNTT西打線に捕まり、5点を献上した。打線は相手先発の浜崎を最後まで捉えきれなかった。

<伊藤大造監督の話> 
 チームは尻上がりに良くなると思っていたが、悔しい結果になった。攻撃で相手投手を崩せなかった。選手はよくやってくれた。この大会から得た課題と向き合い、チームとして力を付け、秋の選手権大会に向けて練習していく。

■中嶋主将「打線鍛え、戻ってくる」 

 「球数が増えてもスピードが落ちず、キレもあった。投手陣が粘っていたのに、打線が最後までずるずるいってしまったのが申し訳ない」

 代打で最後の打者になった主将中嶋はNTT西日本の先発浜崎を最後まで攻略できなかったことを悔やんだ。

 チームで140キロ台の速球に的を絞るプランがあった。しかし、相手投手は13年目で都市対抗を何度も経験するベテラン。想像以上に各打者が差し込まれ、チェンジアップとの緩急も抜群。六回終了で100球に達した後も淡々とアウトを積み重ねられた。

 都市対抗の予選から本大会で敗れるまで、全試合で先攻を選び、先制点を取って相手に圧力を掛けるのが理想だった。

 中嶋主将は「投打でカバーし合って全国で1勝できた。いい面は継続しつつ、打線は今以上に力をつけ、来年もドームに戻ってくる」と力を込めた。

■若手投手、大きな収穫

 「お家芸」と呼べる細かな継投策にほころびが生まれ、8強入りを逃した日本製紙石巻だが、若手投手が本大会を経験したことは大きな収穫となった。

 3番手の川合は「1回戦でマウンドの感触に慣れた。大会を通じ自分の投球ができた」と満足そうに語った。

 0-2の三回2死一、三塁で登板。一走に盗塁を許したが持ち味の重い直球とスライダーを駆使して三振で切り抜けた。四回も0点に抑えた。

 五回には神奈川・横浜高出の新人鈴木が登場。「後ろの先輩に託すため自分は思いきり行くだけ」と四球は出したものの、140キロ台前半の直球を軸に打者2人を抑えた。

 川合は大卒2年目、鈴木は高校卒業から半年での大舞台。川合は「どんな場面でも点をやらなければ、いい雰囲気が仲間に伝染する」。鈴木も「追う展開でも攻めの姿勢が大事」と手応えをつかんだ。

   ◇

■石川県出身の生長投手、被災地に思い重ね力投

 日本製紙石巻の新人左腕・生長蓮投手(22)=石川県白山市出身=が23日の1回戦で先発として活躍。2013年以来の本大会1勝に貢献した。東日本大震災と能登半島地震、二つの被災地に思いを重ねながら5回1失点の力投。「試合後、それぞれの地域にいる友人らから激励の連絡をもらった。これからも石巻と石川の名を広める活躍をする」と意気込む。

 生長投手は桐蔭横浜大(横浜市)4年だった元日、実家で被災した。地震発生後は実家や親戚宅、知人宅で生活物資の確保や後片付けに追われる日々。「いつ収まるか分からない地震への怖さで、野球のことを考える余裕はなかった」と振り返る。

 チームの指示で支援活動に専念し、2月に合流した。投手陣最年長の塚本峻大投手(32)からは「一人で抱え込むな。石巻も震災後、力を合わせて乗り越えてきたんだから」と声をかけられ「心が楽になった」と当時の心境を語る。

 今大会初戦のKMGホールディングス(福岡市)戦は東京ドーム特有の硬いマウンドに慣れなかったというが、縦と横2種類のスライダー、カーブ、チェンジアップなどを駆使して試合をつくった。

 試合には地元石川の友人や大学の同期でプロ野球東北楽天の古謝樹投手(22)が駆け付けた。「お世話になった人たちに勝ち試合やいい報告ができて良かった」と話す。

 NTT西日本戦はスタンドから見守った。秋には日本選手権出場を懸けた予選が始まる。「今度は自分が支える側になる。もちろん来年も都市対抗に出る」と先を見据えた。

23日の1回戦で5回1失点と好投した日本製紙石巻の生長

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