夏の水難事故、防ごう 石巻地方の学校で着衣泳 休み前の指導広がる
海や川での遊びが楽しい夏本番。東日本大震災と新型コロナウイルスの影響で長期休止を余儀なくされた海水浴場が近年、相次いで再開した。一方、長引いた活動自粛で、水遊びに慣れていない親子が増えている。夏休み中の水難事故を防ごうと、石巻地方の学校や施設では、身を守る方法を伝えながら注意を呼びかけている。
今年7月、高知市の小学4年の男児が中学校のプールで行われていた授業中に溺れて亡くなる事故が発生。水の事故が日常にあることが浮き彫りになった。
石巻地方の複数の学校では、誤って川やため池、海に落ちた時を想定し、夏休み前、衣服を着て水に入る「着衣泳」の授業を行った。
1学期最後の登校日には、各学校ごとに水の事故への注意を訴えた。石巻市蛇田小(児童736人)はオンラインで、ライフジャケットの活用や、着衣泳の授業で習ったペットボトルを使って背浮きをすることをおさらいし、生徒指導の担当教諭が「海や川には必ず大人と行くこと」と訴えた。
着衣泳の授業は必須ではなく、実施は各校が判断する。年2回、講師を招いて全学級を対象に行う学校もあれば、一部の学年に限定して行う学校もあるなど、ばらつきがある。従来、水質が悪くなるといった理由から水泳の授業の最終日に行うケースが多かったが、水難事故が発生しやすい夏休み前に行う学校が増えつつある。
石巻地方の複数の小学校に出向いて指導している、水難学会ボランティア指導員の鈴木学さん(49)=石巻市=は「毎年継続して体験している児童は身を守る術が着実に身に付いている。見守る立場の大人にも、講座などを利用して理解を深めてほしい」と願う。
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東松島市健康増進センターゆぷとは8月3日、着衣泳の体験会を開く。幼児以上の一般が対象で、鈴木さんが指導する。定員は40人。参加無料。申し込みは31日まで。連絡先はゆぷと0225(84)3855。
「浮いて待て」、児童が実践 東松島・矢本東小
東松島市矢本東小(児童446人)は夏休み前の16日、全学級と教員を対象に、水難学会ボランティア指導員の鈴木学さんらを講師に招き、授業を行った。
4年生の授業では、肺に空気をためて水面にあおむけに浮く姿勢を体験。子どもたちは浮力があるペットボトルなどを抱くと体力を消耗しないことを体感した。鈴木さんは「合言葉は『浮いて待て』。そうすれば必ず助けが来る」と強調した。
その上で、溺れている人が助けを求めても、手を差し出してはいけないと指摘。「手を引っ張られた勢いで自分が落ちて沈んでしまう。浮く物を投げ込んで大人を呼んで」と訴えた。
4年只野夢翔(ゆうと)さん(9)は「水中では服が重くて動きにくかったけれど、ペットボトルがあれば浮きやすかった」と話した。同小は9月にも講座を開く。
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