家族の避難予定表を作成 かほく防災記者、石巻で夏期講習
東日本大震災の教訓や災害への備えを学び、発信する中学生対象の「かほく防災記者」(河北新報社主催、三陸河北新報社共催)の夏期講習が7月29、30日、石巻市の河北新報社石巻総局などで行われた。
29日は県内の中学生4人が家族の避難行動を時系列で決めておく予定表「タイムライン」を作成した。事前に自宅周辺の災害リスクや最寄りの避難先などを調べた上で、家族の行動を記入したシールを、警戒レベルごとにタイムラインに貼って完成させた。
家族の被災体験や家庭内の備えを取材し、書いた原稿も発表した。「『どこに逃げる』『連絡が取れなかったらどうする』など家族と話し合うことはたくさんある」「住んでいる地域に津波は来なかったが、瓦が落ちたりブロック塀が倒れたり、建物被害は多かった」などと説明した。
昼食は非常食を試食。カセットコンロで沸かした湯でアルファ米を戻し、温めずに食べられるレトルトカレーや缶詰のカレーと一緒に食べた。切り干し大根をノンオイルの無塩のツナ缶で戻し、梅干しや塩昆布で味付けする乾物非常食作りも体験した。
30日は県内の中学生4人が気仙沼市の市東日本大震災遺構・伝承館を視察した。伝承館で津波や津波火災の映像を視聴した後、震災遺構の気仙沼向洋高旧校舎を回り、校舎4階の壊れた壁や3階に流入した車を見て、津波の高さと破壊力を学んだ。
震災発生当日は授業がなく、高校生は部活動をしていた。案内した、けせんぬま震災伝承ネットワーク副代表の菅原定志さん(63)は「マニュアルでは校舎3階に逃げることになっていたが、揺れが普通ではないということで生徒たちはグラウンドから内陸側の遠くへ逃げた」と語った。
津波襲来後、学校に残っていた教員と、校舎の工事関係者が協力して垂直避難したほか、家の2階ごと流されてきた住民を救出したという。
生徒たちは「ここの高校生のように、早く判断し、なるべく遠くに逃げたい」「共に生きて支え合うことがいかに大切か、改めて学ぶことができた」などと、視察の感想を備え付けの付箋に記した。
夏期講習で中学生が家族の被災体験や家庭の備えを取材し、書いた原稿は後日、河北新報朝刊に掲載する。
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