(966)広島や卵食ふ時口ひらく/西東三鬼(1900~1962年)
「広島」の地名が喚起する原爆の恐怖と悲しみが伝わってくる。作者が原爆投下から1年後の広島を訪れたときの句で、ゆで卵を食べているのは作者だが、同時に被爆後の広島で暮らす人々のようでもある。「卵食ふ時口…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。