(969)炎天、妻に火をつけて水のむ/松尾あつゆき(1904~1983年)
作者は長崎原爆で3人の子と妻を相次いで亡くした、自由律の俳人。<なにもかもなくした手に四まいの爆死証明>という句もある。掲出の句の前書きは「妻を焼く、八月十五日」。国家の単位では「終戦の日」だが、作…
関連リンク
- ・(968)脱ぎ捨てし水着のごとく帰宅せり/渡辺誠一郎(1950年~)
- ・(967)翌(あく)る日の七夕竹の雨の粒/黒岩徳将(1991年~)
- ・(966)広島や卵食ふ時口ひらく/西東三鬼(1900~1962年)
- ・(965)どれも口美し晩夏のジャズ一団/金子兜太(1919~2018年)
- ・(964)水ばかりのんで汗かくおろかもの/阿部みどり女(1886~1980年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。