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石巻地方の工場探訪(2) 研磨加工 エヌエス機器(石巻市和渕)

作業台に向かい、黙々と航空機部品の研磨作業を行う従業員ら

<磨いた部品、航空機やH3ロケットに供給>

 整理整頓が行き届いた工場内に、電動やすりのモーター音と金属の擦れる音だけが響く。金属の精密研磨加工を手がけ、その高い技術力を武器に、航空関連分野などで存在感を高めている。

 工場を訪ねると、ジェットエンジンの「タービンブレード」の研磨が行われていた。従業員が作業台に向かい、ベルト状のやすりでニッケル合金製の部品をナノレベル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の精度で磨き上げる。全て手作業だ。

 複雑な形状の部品もある上、磨き過ぎで形状が変わるとエンジン性能の低下に直結するため、メーカーの要求水準は高い。工場で磨かれた部品はさまざまな旅客機や戦闘機などに使われ、国内外の大空を飛び交っている。

 近年は宇宙産業への参画も進める。国産新型ロケット「H3」には、エンジンの駆動源となるターボポンプ関連など、同社で加工した13種の部品が使われた。

 高橋盛二製造部長(44)は「自ら磨いた部品が宇宙へ行く。それは仕事の大きなモチベーションになる」と従業員の思いを代弁する。田んぼと畑に抱かれた小さな町工場が、広くはるかな世界とつながっている。
(都築理)

水田の中にあるエヌエス機器の工場

■メモ 
 阿部秀敏社長が1986年創業。当初は自動車部品のワイヤハーネス、携帯電話のアンテナなどの製造を手がけ、2015年から航空機部品の研磨に参入。医療機器や半導体製造装置の部品加工も行う。現在は第6工場を建設中。従業員は関連会社を含め68人。石巻市和渕日照131。

鏡面研磨・バフ研磨、バリ処理 エヌエス機器

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 1次産業から宇宙まで、石巻地方には地域や全国のさまざまな産業を支える工場が多数立地する。職人技や最新設備が詰まった工場内部を巡る。=随時掲載=

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