壮大な旅を体感 サン・ファン館、展示一新 10月26日再オープン
県は21日、全面リニューアルのため長期休館している石巻市渡波の県慶長使節船ミュージアム「サン・ファン館」を、10月26日に再オープンすると明らかにした。施設・設備の改修や展示物の工事のめどが立った。同日の県議会環境福祉常任委員会で示した。
リニューアル後、展望棟ロビーでは伊達政宗の国づくりや慶長遣欧使節派遣の経緯などを大型パネルで紹介。レリーフに映像を投映し、音声やナレーションを交えて石巻市月浦から使節船が出帆するシーンを再現する。
慶長使節展示室では、半球状の展示物に世界地図や航海の過程を映し出す。映像のほか音声やナレーションも用い、旅のスケールを感じてもらう。
ドック棟の東ウイングでは、壁に描かれたイラスト類で帆船の建造工程や船内の生活などを解説。西ウイングは、老朽化などで解体された慶長遣欧使節船「サン・ファン・バウティスタ号」の木造復元船の装飾部分など部材を展示する。
木造復元船があったドックは埋め立て、5月までに後継となる4分の1サイズの復元船が完成。周囲は広場にし、拡張現実(AR)で船の構造や帆を張った様子をスマートフォンなどで見られるようにする。
サン・ファン館は2022年11月から休館。常設展示の大幅リニューアルは1996年の開館以来初めて。県は2028年度に来館者数7万4000人、来館者の満足度80%を目指す。総事業費は約19億円。
10月26日は記念式典後に一般来館者を受け入れ、26、27日に記念イベントを開く。来年3月17日まで特別企画展「ローマへの遠い旅-高橋由貴彦写真展-」を開催。石巻市出身の写真家・歴史研究家で、故人の高橋氏が1970年代に慶長遣欧使節の旅をたどって撮影した風景写真を紹介する。
県消費生活・文化課の担当者は「展示のリニューアルによる集客力を生かし、博物館機能だけでなくにぎわいや地域振興につなげたい。地域の方と連携し、愛される施設にしていきたい」と話す。
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